まずは日本円を軸にして、近年の為替レートの動向を考えてみましょう。

近年の為替レートの動向

 

為替レートが変更するのは、法定通貨を持つ各国の経済情勢や政策(マネタリーベースなど)と、世界的なリスクへの捉え方による2つの要因があります。

 

日本円は世界の中でも屈指の安全資産だと言われています。
過去にはリーマンショックやギリシャ危機などネガティブなニュースが出た時に円買いが加速しました。

 

近年の為替のレートイメージ画像

 

為替レートは日々変動しているので、外貨両替をするときは少しでもお得な時期に両替したり、現在のトレンドや今後の予測を把握したいと考えるものです。
日本円を軸に考えた近年の為替レートの動向を解説します。

 

日銀の金融政策で安定した円安水準を維持

 

ドル円の長期チャートを見ると、2007年のリーマンショックを皮切りに歴史的な円高が加速し、2011年には1ドル80円を割り込む場面がありました。
その後、日銀が現在の黒田総裁に変わって歴史的な異次元の金融緩和を行い、円安トレンドに突入しています。
日銀の行った金融政策は多岐にわたりますが、為替レートに大きな影響を与えたのがマネタリーベースの増加です。

 

マネタリーベースとは日本銀行が供給する通貨で、流通現金(日本銀行券発行高+貨幣流通高)と日銀当座預金の合計値です。

 

日本をはじめ世界の国の多くは、少しずつお金の総発行量を増やしていますが、日本は海外以上に大きなペースで円の流通量を増やす政策を取りました。
外貨に比べて日本円の発行数が増加すると、必然的に外貨と比べた1円あたりの価値が低くなるため円安になりました。

 

2012年に本格的な金融緩和が始まってからは、1ドル100円から120円の水準で安定していて、米ドル以外の円建て為替レートも軒並み円安水準で安定しています。

 

今後は不安定になる可能性も

 

2019年2月現在、日本のマネタリーベースは高水準を維持しています。
しかし、長期的にマネタリーベースを増やし続けることは難しく、近い将来には現在よりも増加量を減少させるのではないかと言われています。
大きなターニングポイントになるのは2020年の東京オリンピックです。
オリンピック前に金融政策を見直して混乱を起こす動きはないと多くの専門家が分析しています。

 

マネタリーベース減少に伴い、為替レートや経済が安定する新たな政策や対策を講じる可能性もありますが、長期に渡っている金融緩和は近い将来終止符をうち、短期的にはどこかの日銀金融政策発表後に相場が大きく動く可能性が高いです。

 

将来的に先進国との為替レートは安定する可能性が高い

 

ドル円は第二次世界大戦後、1ドル360円の固定レートが続いていて、1971年より変動レートに移行して円高になっていきました。
過去25年で見ると1995年に一時80円を割り込み、バブル崩壊などの影響で高値を付けたわずか3年後の1998年には1ドル147年まで円安が進む荒い値動きでした。
その後も2000年には100円台前半、2003年に135円台、2004年100円付近、2006年120円付近、2012年70円台後半など荒い値動きが続きましたが、少しずつ変動幅が少なくなっています。

 

為替レートは本来は需要によって動くものです。日本製品が海外で売れれば円高が進むのがセオリーでしたが、昨今は投資家の判断によって為替変動が起こる傾向が強まっています。
昭和生まれの人は小学校の時に「日本は世界の中でも貿易黒字が大きい国」と教わったかもしれないですが、近年は2011年から2015年は貿易赤字になるなど、直近10年の貿易収支を見るとトントンです。

 

一つ言えるのは輸出入の合計金額の両方が長期的に増加しています。
今後はTPPやインターネットサービスの普及などで、さらにグローバル化が進んでいく見込みです。

 

海外との貿易やビジネスにおける取引量と、日本円を中心にした通貨の発行量が増えれば、必然的に為替レートの変動幅は狭くなっていき、1990年代に80円から140円台に動いたような大きなレンジによる荒い値動きをすることは考えにくいです。